漁港の街の道で、キジトラが足元へ近づいてきます。撫でられるうちに路面へごろん。その少し向こうでは、黒白の猫が腰を落ち着けています。同じ場所にいても、人との距離の取り方はずいぶん違うようです。
積極的に近づく一匹だけを追っていると、もう一匹の姿を見落としてしまいそうになります。けれども、二匹を交互に眺めると、この道で過ごす時間がぐっと豊かに見えてきます。近くに来ることだけが、猫との出会いの楽しみではありません。
この記事内の見出し画像は、動画の雰囲気と猫の毛柄をもとに作成したイメージ画像です。
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挨拶は、もう足元で始まっていた

四角い模様の入った舗装路に、縞模様の猫がやって来ます。がっしりした胴体と、丸みのある顔。背中から脇腹にかけて濃い線が続き、顔を正面から見ると、額や頬にも細かな模様があります。
立てた尾は短めで、先が少し曲がって見えます。歩く姿を横から眺めたとき、この尾と丸い背中の組み合わせが目に残ります。足を止めても、向きを変えても、輪郭だけで見分けられそうな一匹です。
差し出された手が背中に触れると、猫はその近くに留まります。頭がカメラに近づき、今度は胴体の縞が大きく映る。猫のほうが少し位置を変えるだけで、見る側は顔を追ったり、背中を追ったりと忙しくなります。
元動画の題名では、この道を歩くたびに出てくる猫として紹介されています。その繰り返しを直接確かめたわけではありませんが、今回の近づき方を見ると、撮影者がこの顔を覚えているという説明にはうなずきたくなります。知らない街にも、一匹の姿から覚えられる道があるのだと思えます。
毛柄や仕草が気になった方は、猫の豆知識もどうぞ。名前のわからない猫でも、見分ける手掛かりは思いのほかたくさんあります。
ごろんと倒れて、休憩場所になる

立っていたキジトラが、体を傾けて横になります。さっきまで四本の足で支えていた重みを、そのまま地面に預けるような動きです。背中を撫でる手のそばで、前足の位置を変え、顔を持ち上げてはまた落ち着きます。
横になった体では、立ち姿のときに見えにくかったお腹側の色も見えます。背中の濃い縞に比べ、腹のあたりは茶色が柔らかく感じられます。足の曲がり方や顔の角度によって、同じ模様の見え方まで変わるのです。
舗装された道は、通るための場所だと思って見ていました。ところが、猫が横たわるだけで、そこが小さな休憩場所に見えてきます。特別な敷物も、立派な台もありません。ざらついた路面に猫一匹ぶんの場所ができ、それで場面が十分に成り立っています。
もちろん、この姿を見て、どの猫にも同じ触れ方をしてよいとは限りません。ここで見えているのは、この猫と撮影者のやり取りです。猫が体勢を変えるたびに、その動きに目を向けていたい。どんな気持ちかを一言で決めるより、前足や顔の小さな変化を追うほうが、長く眺めていられます。
黒白猫には、黒白猫の間合い

キジトラの近くには、もう一匹います。黒い体に白い口元と胸が映える猫です。手前の猫が大きく動くあいだも、少し離れたところに座り、後には前足を体の下へ収めた姿を見せます。
この黒白猫まで、同じように寄ってくる必要はありません。じっとしている姿にも、十分に目を引くところがあります。黒い毛の中で白い胸が小さくまとまり、横を向くと顔の輪郭がよくわかる。体の置き方がコンパクトなので、キジトラの伸びた姿とよい対照になります。
そばにいるから仲良し、距離があるから警戒している、とすぐに決めることもできません。二匹の関係や普段の過ごし方は、この場面だけではわからないままです。それでも、一方は人のそば、もう一方は少し先という配置には、それぞれの居場所を眺める面白さがあります。
猫との出会いを集めた猫島の記事でも、まず視線をさらう猫と、背景にゆったり収まる猫では印象が変わります。目立つ動きがなくても、画面の端に残る一匹が、その場所らしさを支えていることがあります。
また歩き出すと、街の道に戻る

ひとしきり近くで過ごしたあと、キジトラは再び歩きます。家の壁や店先の前を進む姿を追うと、猫の顔でいっぱいだった視界に、街並みが戻ってきます。舗装の模様、壁際の細い溝、道へ落ちる建物の影。猫の体と比べることで、道の幅や奥行きもつかみやすくなります。
先ほど横になっていた場所も、離れて見ると街の一角です。そこで猫が転がり、黒白猫が座り、また歩き出した。それだけの出来事なのに、何も知らずに通り過ぎる道とは違う印象になっています。
二匹の挨拶に、同じ形を求めなくてよかったのかもしれません。足元まで来るキジトラと、少し先でまとまる黒白猫。近くで顔を見る楽しみと、邪魔せず姿を眺める楽しみが、この短い道の中に両方ありました。
街と猫のつながりを別の角度から読みたいときには、猫にまつわる神社・お寺の案内もあります。出会えることを約束する案内ではなく、その土地と猫の話を知るきっかけとして楽しめます。
次にこの道の場面を思い出すなら、立てた短い尾と、白い胸を小さくまとめた姿が浮かびそうです。歓迎という言葉を大げさに使わなくても、足を止めたくなる理由は、二匹がそれぞれの場所にいるだけで足りています。



























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