※この記事は感動猫動画さんの許諾を得て創作された物語です。
福岡県・北九州市小倉北区の沖合に浮かぶ小さな離島、「馬島(うましま)」。かつてこの島は、“猫の楽園”として全国の猫好きたちに知られていました。
港に着くやいなや、猫たちがワラワラと集まってきて、足元にスリスリ。神社の階段では、茶トラの猫が「行かせニャい」とばかりにとおせんぼ。
排水溝からは、「助けて〜」と可愛らしい声で観光客を翻弄する“演技派子猫”まで登場するという、まさに猫づくしの夢の島だったのです。
──しかし、現在の馬島は少し様子が違います。
この記事では、「感動猫動画」さんが数年前に実際に訪れたときの様子をもとに、今はなき猫たちとの心温まる出会いを物語として再構成しました。
馬島は“猫だらけ”の島じゃなくなった?

2014〜2015年ごろ、馬島では約90匹もの猫たちが自由気ままに暮らしていたといわれています。
渡船を降りた瞬間から、猫たちが歓迎してくれるその光景は、多くの観光客や猫好きの心をつかみました。しかし、2019年に報道された内容によると、猫の数はおよそ30匹程度にまで激減。
その背景には、不審な餌の散布や、毒餌、虐待と疑われる事件があったともされ、地元の住民や保護団体からは深刻な懸念の声が上がっていました。
そして2025年現在。SNSや観光ブログでは「猫が寄ってきてくれた」「港に数匹いた」といった声はあるものの、かつてのような“猫だらけ”の光景は見られなくなっているのが実情です。
馬島上陸!のんびり猫たちの“お出迎え”

フェリーが馬島の港に近づくにつれ、岸壁のあちこちに見える小さな影。
「あれ、全部……猫だよな?」
そう思っていたら、船が着岸するころには、港のスロープを何匹もの猫がぞろぞろと上ってきて、待ち構えているではありませんか。
まるで「おーい、観光客が来たぞー!」と伝え合っているかのように、黒白、キジトラ、三毛、サビ……色とりどりの猫たちが、船を降りたばかりの私たちを囲むように寄ってきます。
「え、ここ天国? いや、猫の島ってこういうことか……!」
そんなふうに思わず笑ってしまうほど、あたたかくてゆるやかな時間が流れていました。
神社で出会った甘えん坊猫

猫たちに名残を感じながら港を後にし、島の中央部へと向かうと、緑に囲まれた小高い丘に「大山祇神社」が姿を現しました。
急な石段を登るその途中、わんぱくで甘えん坊な猫たちと出会います。

彼らとしばらく戯れた後、男性は別の場所に移動しようと立ち上がりました。しかし、この神社を根城にしている茶色い猫ちゃんがとおせんぼ!
「嫌!まだ帰らないで!!」とでも言いたげです。
「か、かわいい。。。」
“演技派子猫”に完敗

下山して再び港の方へ戻ると、道の脇から「ミャー、ミャー」とか細い鳴き声が聞こえてきました。
声のする方を探してみると、排水溝の中から小さな顔が!小さな子猫が、まるで「助けて……」と言っているような顔でこちらを見つめています。
「こ、これは救出せねば!」と急いで排水口の蓋を外そうとしたそのとき。
近くにいた地元の方が、笑いながら声をかけてきました。
「あー、またその子か。大丈夫、ちゃんと出口あるから。観光客がいると、よくそれやるんよ(笑)」
……まさかの猫芝居。
子猫はというと、こちらの戸惑う顔を楽しむように排水溝の奥へスルスルと姿を消し、数秒後には別の出口からスタスタと登場。
まるで「ありがとう、また今度ね」とでも言いたげに去っていきました。してやられた感満載。でも……可愛いから許す!
まとめ|あの頃の馬島は、まさに“猫の楽園”だった
あの頃の馬島には、猫の気配があらゆる場所に満ちていて、歩けば足元に猫、ベンチには猫、神社にも猫。
数十匹の猫たちが、それぞれの時間を、自由気ままに、そして人と優しく交差しながら生きていました。
いまではその数も減り、“猫の楽園”という呼び名も過去のものになりつつあります。けれど、あの島で過ごした、猫たちとのひとときは、今でも心をそっと照らし続けています。
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