私たちの暮らしに寄り添う猫たち。寝てばかりかと思えば急にダッシュしたり、カーテンをよじ登ったり…そんな気まぐれさも魅力のひとつです。
ですが「そもそも猫って、いつから人と一緒に暮らすようになったの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、猫が私たちの「家族」になったのは意外と最近のこと。長い進化の歴史を経て、野生の猫が少しずつ人に近づいてきた結果が、今の「イエネコ」なのです。
この記事では、猫の祖先からイエネコ誕生までの道のりをたどってみましょう。
イエネコとは?
「イエネコ」とは、学術的に人と共生する小型のネコ科動物を指す言葉です。普段「猫」と呼んでいるのは、すべてこのイエネコのこと。
イエネコは犬のように人間のために働くことは少ないですが、狩猟本能は健在で、ネズミや小さな虫を素早く捕まえます。
夜になると突然ハイテンションになり、家の中を全力疾走…これも先祖から受け継がれた野生の習性の名残です。
「うちの猫も夜になると運動会を始める!」という方、まさにそれは何百万年も前から受け継がれてきたDNAのしわざ。
そう考えると、日常のいたずらや大騒ぎもちょっと愛おしくなりませんか?
イエネコの祖先・リビアヤマネコ
イエネコのルーツは、北アフリカや中東に生息する「リビアヤマネコ」です。
ヨーロッパヤマネコの亜種で、他のヤマネコと大きく違うのは「人をあまり怖がらない性質」を持っていること。
この性格こそが、人間と猫の距離を縮める大きなきっかけでした。約9500年前、農耕が始まり人々が穀物を貯蔵するようになると、その穀物を狙ってネズミが集まるように。
そこへやってきたのがリビアヤマネコです。人々はネズミを退治してくれる猫を歓迎し、やがて餌を分け与えるようになりました。
猫の方も「ここにいればご飯があるし、安全だ」と学び、人のそばに定着していったのです。これが「家猫(イエネコ)」の始まり。
現代の猫がごはんの前に「にゃーん」とおねだりするのも、この頃からの知恵かもしれません。
猫の進化の歴史をたどる
最古の哺乳類(5300〜6000万年前)

恐竜絶滅後、地球には小さな哺乳類が広がりました。肉を食べることに特化した最古の肉食哺乳類が出現し、後の猫や犬のルーツとなりました。
ミアキス(約5400万年前)

「ミアキス」と呼ばれる動物が登場。体長約20cm、イタチのような姿で木登りが得意でした。犬や猫、クマなど現代の肉食獣の共通の祖先とされています。
プロアイルルス(約3000〜2500万年前)

ミアキスから進化したのが「プロアイルルス」。今の猫に近い体型を持ち、長いしっぽや鋭い犬歯を備えていました。まだ猫特有のしなやかな動きはなく、どちらかというとぎこちない動物だったそうです。
プセウダエルルス(約2000〜1000万年前)

猫科動物の直接の祖先とされるのがこの時期の「プセウダエルルス」。ヨーロッパやアジアに広がり、牙や骨格の特徴は現代の猫にかなり近づいています。
リビアヤマネコ(約13万年前〜現在)

そしてついに、人と共生する準備が整ったリビアヤマネコが登場。砂漠や草原などの過酷な環境を生き抜きながらも、人を怖がらない特性が「イエネコ」への道を切り開きました。
まとめ
猫は恐竜絶滅後に誕生した小さな哺乳類から進化を重ね、リビアヤマネコを経て「イエネコ」となり、私たちの暮らしに寄り添うようになりました。
毎日何気なく撫でている猫も、実は6500万年という壮大な歴史を背負った存在。そう考えると、猫の寝顔ひとつにも感慨深さを覚えますね。
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