愛媛県大洲市長浜町の沖合に浮かぶ青島(あおしま)は、「猫島」として世界中の猫好きに知られた場所です。
最盛期には島民14人に対して猫が200匹以上。「猫の楽園」としてSNSやメディアに取り上げられた青島ですが、2025年現在、その姿は大きく変わっています。
本記事では、青島の猫たちの現状と、人と猫が共に生きる“終末期”の島の姿、そしてこの「猫島」が私たちに問いかける未来についてご紹介します。
猫島・青島ってどんな場所?|最盛期の猫だらけ空間を振り返る
青島はかつて、日本一とも称された“猫密度”を誇る猫島でした。その数は、島民14人に対して猫が200匹以上。
観光客がフェリーを降りると、足元に猫がわらわらと集まってくる。猫を探す必要がないほどの密度です。
2013年ごろからSNSやメディアで「猫の楽園」として一躍注目された青島。定員34人の小さな船に乗り切れないほどの観光客が押し寄せる状態でした。
一方で少ない島民だけでは管理しきれず、糞尿被害や鳴き声による騒音などが問題に。
この問題を解決するため、2018年頃に県内複数のボランティア団体や個人などの協力を得て全頭不妊去勢手術(TNR)が実施され、現在まで徐々にその数を減らしています。
2025年現在、猫の数は70匹ほどに減少。島民は僅か3名となりました。「2027年頃には猫がいなくなるのでは」と、テレビ番組の中で語られています。
青島を訪れるなら今のうちに
青島に行ってみたい――そう思っているなら、それを“いつか”にしてはいけません。なぜなら、青島が“猫島”として訪れることができるのは、あと数年のうちかもしれないからです。
かつて800人以上が暮らしていた青島も、2025年現在ではたった3人の高齢者のみ。このままいけば、完全な無人島になるのも時間の問題とされています。
青島へ渡るには、長浜港から1日2便の定期船「あおしま」に乗るしか方法がありません。しかしこの航路は、基本的に島民の生活を支えるためのもの。
住民がいなくなれば当然、航路の維持理由も失われてしまいます。つまり、物理的に“行けなくなる日”が迫っているということです。
青島へのアクセス
愛媛県青島へのアクセスは、まず松山駅からJR予讃線で伊予長浜駅へ向かい、そこから長浜港まで徒歩約2分です。長浜港から青島までは、1日2便の定期船が出ています。
青島海運有限会社が所有する定期旅客船「あおしま」は、青島と長浜を結ぶ唯一の交通手段。人の輸送だけでなく、生活用水や生活物資の輸送など、極めて重要な役割を担っています。
時刻表 | 便 | 長浜港発 | 青島港着 | 青島港発 | 長浜港着 |
---|---|---|---|---|---|
通 年 | 1便 | 8時00分 | 8時35分 | 8時45分 | 9時20分 |
2便 | 14時30分 | 15時05分 | 16時15分 | 16時50分 |
運賃 | 片道 | 往復 |
---|---|---|
大人(12歳以上) | 700 円 | 1,400 円 |
小人(6歳以上12歳未満) | 350 円 | 700 円 |
青島を訪れる前に知っておくべき5つのこと
青島は人も猫も“静かに暮らす生活の場”であり、訪れる側には特別なマナーと準備が求められます。
青島には商店も、自販機も、ゴミ箱すらもありません。島に住む人はわずか数人、猫たちも高齢で、体調を崩しやすい子も多くいます。
今ある当たり前は、数年後にはもうないかもしれません。「あの時、行っておけばよかった」と後悔しないように、今できる体験は今のうちに!
青島に行くなら前泊が安心!“猫旅館”で癒やしのひとときを
青島への定期船は1日2便のみ、かつ定員34名・予約不可の先着順。午前の便を逃すと、午後便は満員で乗れないこともあり、青島へ確実に渡るには、朝8時の船に乗る必要があります。
午前の便に乗り損なったら、青島に上陸できないまま引き返す可能性も。そんなときにおすすめなのが、大洲市内にある猫好き必見の宿「松楽旅館」です。
愛媛県大洲市にある「松楽旅館」は、猫好きの間で“猫旅館”として知られる人気宿。館内には約10匹の看板猫たちがいて、自由に歩き回り、客室にも訪れてくれるのが最大の魅力です。
客室のドアには猫専用の小窓があり、そこから猫たちが「おじゃましま〜す」と遊びに来てくれます。
布団の上で丸くなって寝たり、朝にはそっと目覚まし代わりに起こしてくれることも。まるで猫と一緒に暮らしているような感覚を味わえる宿です。
6畳の和室が用意されており、宿泊費用は素泊まりで1人3,000円。
楽天ふるさと納税の対象施設なので、20,000円の寄付をすると6,000円分のトラベルクーポンがもらえます。2,000円の負担で4,000円お得に宿泊可能!
是非訪れてみてください♪
まとめ|“猫島”青島が見せてくれる、かけがえのない風景
愛媛県の青島は、かつて200匹以上の猫たちが暮らしていた“猫の楽園”。しかし2025年現在、猫は70匹ほどにまで減少し、島民もわずか3人。
“猫島”としての最期の時間を、静かに刻んでいます。いつまでもあると思っていた猫の姿も、島の暮らしも、あと数年で消えてしまうかもしれません。
だからこそ、「行ってみたい」と思った今が、そのチャンス。青島に行くには準備とマナーが必要ですが、それを超えるかけがえのない出会いと記憶が待っています。
そして、朝の便に確実に乗るためには前泊もおすすめ。猫と一緒に眠り、青島の猫たちに会いに行く——そんな贅沢な“猫旅”を、ぜひ今のうちに体験してみてください。
→ 島内に飲食店・自販機は一切ありません。夏場の脱水防止のためにも、水分は多めに。
→ 長浜港からの便は朝8:00と午後14:30。午前便が定員に達していると、午後便の利用ができないこともあります。往復ともに乗れる保証はありません。
→ 島にはゴミ箱も回収もありません。あなたが持ち込んだものは必ず持ち帰ってください。
→ 撫でたり、抱き上げたり、追いかけたり。猫が逃げたら、それは「触らないで」という合図です。特に高齢の猫が多いため、そっと見守る距離感が大切。
→ 猫への餌やりは本来“自粛”が原則。許可されているのは、港近くのエサ場のみ。猫用フードのみを、少量ずつ与えるようにしましょう。