日本各地には猫を祀った寺社や、猫にまつわる伝説を残す仏閣が点在しています。
ネズミを退治する守護神として、また福を招く縁起物として、さらには不思議な化け猫伝説の舞台として、猫は人々の信仰や暮らしと深く結びついてきました。
本記事では、中国・四国地方の猫と縁の深い寺社仏閣を厳選してご紹介します。猫好き巡礼の旅の参考に、ぜひご覧ください。
山口県萩市|雲林寺(猫寺)

山口県萩市の雲林寺は「猫寺」として全国に知られ、猫にまつわる信仰や供養、ユニークな体験が集約した特別な寺院です。
雲林寺のルーツは、毛利家臣・長井元房が殉死し、その死を悲しんだ猫が墓前から離れず、四十九日寄り添ったのち自ら命を絶ったというエピソード。
境内には狛犬ならぬ「狛猫像」、猫の供養碑や数百体の猫の置物、木彫り、チェーンソーアートなどが点在し、本堂内には600種を超える猫グッズや世界中の猫アートが展示されています。
猫をモチーフにした御朱印帳や猫絵馬、グッズも充実し、故猫供養から、家族である猫とのつながりや癒しを大切にできる空間です。
鳥取県鳥取市|転法輪寺

鳥取県鳥取市琴浦町にある転法輪寺は、猫供養で知られる寺院です。寺の入口には猫の彫刻が施されています。
転法輪寺には「おふじ」という名の飼い猫がいました。和尚が大切にしていた猫でしたが、ある日、和尚はおふじが化け猫であることを悟ります。
可愛がっていたおふじが化け猫だったことを知った和尚さんは、おふじに餌をやりながら、寺を出て行くよう別れを告げました。
その10年以上あと、おふじからの恩返しによって転法輪寺は名高い寺として知られるようになり、栄えていったと伝えられています。
徳島県阿南市|お松大権現

徳島県阿南市の「お松大権現」は、江戸時代の悲劇の女性・お松と、その愛猫である三毛猫の祟りを鎮めるために建立された全国的に有名な猫神様の神社です。
通称「猫神さん」とも称され、この怪猫伝説は佐賀の鍋島の化け猫騒動、福岡の有馬藩の化け猫騒動と並ぶ日本三大怪猫伝の一つで、阿波の伝説として語り継がれています。
境内には1万体以上の招き猫が奉納され、招き猫のコレクションや猫を模した絵馬、守り札などが人気。
お松大権現は、悲劇の女性とその愛猫の強い思いが今に伝わる神社であり、猫と人の深い縁を感じられる場所として、猫好きや勝負事の願掛けに訪れる多くの人に親しまれています。
徳島県徳島市|王子神社

徳島県徳島市八万町の文化の森総合公園内にある王子神社は、お松大権現と同じく、江戸時代に起きた「阿波の化け猫騒動」にちなんだ歴史を持っています。
お松さんと愛猫お玉ちゃんを祀る祠が境内に設けられており、合格祈願や開運、良縁、商売繁盛の神様として多くの信仰を集めています。
境内には「撫でると願いが叶う」と伝わる猫の石像や、多数の招き猫などが並び、拝殿は猫グッズで彩られています。
御朱印は猫モチーフで月替わりデザインが人気で、訪れるたびに新しい魅力を楽しめるためリピーターも多いです。
まとめ
猫は単なる愛らしい存在にとどまらず、人々の信仰や生活、伝承の中に深く根を下ろしてきました。
山口の雲林寺に残る忠猫の物語、鳥取・転法輪寺の化け猫伝説、徳島・お松大権現に伝わる怨念と祈り、王子神社に受け継がれる阿波の猫信仰——
猫好きの方はもちろん、歴史や民話に興味がある方も、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
























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