「猫って、いつ見ても寝ている気がする」——そう思ったことはありませんか?
実は猫は、1日の大半を寝たり休んだりして過ごす省エネ動物です。成猫の睡眠時間は14〜16時間に及び、室内飼いの猫はさらに動かない時間が長くなります。
一方、野良猫には行動範囲があり、オスではなわばり内を1日平均65m程度移動するそうです。ただし、去勢や食料環境によって移動距離は大きく変わります。
この記事では、「猫=寝る子」という語源説の真偽から、猫の睡眠・活動・移動距離の実態までをデータとともに解説。室内猫の運動不足対策や野良猫との共生のヒントもお届けします。
猫の語源は「寝る子」って本当?

「猫=寝る子(ねるこ)」という説はとても有名です。確かに猫はよく眠る動物なので、語感も含めて説得力があります。
しかし、これはあくまで俗説であり、学術的に裏付けられたものではありません。
語源については他にも、猫の鳴き声「ネウ」「ネコウ」から変化したという説や、中国語や朝鮮語から伝わった外来語説なども。
いずれの説も決定打には欠けますが、「寝る子説」は猫のイメージにマッチしていて、人々の間で広く親しまれています。
つまり「寝る子」は、猫の行動特性をうまく表したロマンのある説であり、語源としての確定ではないのです。
猫の睡眠と活動時間——1日の内訳

- 熟睡:6〜8時間
- 浅い眠り(うたた寝):6〜8時間
- 静止(香箱座りなど動かない時間):4〜6時間
- 活動(遊び・食事・毛づくろいなど):6〜8時間
猫は1日のうち60%以上を眠って過ごすと言われますが、その多くは浅い眠りです。
野生時代の本能から、危険や獲物にすぐ反応できるよう、深い眠りと浅い眠りを短いサイクルで繰り返しています。
子猫は成長のため、高齢猫は体力温存のためこれよりさらに睡眠時間が長くなります。
室内猫は1日の7割を動かない
室内猫は安全で快適な環境にいる反面、刺激が少なく、省エネ行動になりがちです。
睡眠と静止時間を合わせると、1日の約70%を動かずに過ごしていることも珍しくありません。このため運動不足や肥満、退屈によるストレスが起こりやすいと言われています。
- 1日2〜3回、各10分の本気遊び(じゃらし・追いかけっこなど)
- 高低差のある動線(キャットタワー・棚)を設置
- 知育フィーダーで食事に工夫を加える
- 窓辺の観察スペースを用意する
- 複数の寝場所(高所・隠れ家・日向)を作る
これらの工夫で、室内猫の活動時間を増やし、心身の健康を維持できます。
のら猫の移動距離と生活

野良猫は、餌場や縄張りのパトロールが日課です。また、その行動範囲は性別や去勢の有無、食料の豊富さによって変わります。
- 未去勢オス:縄張り内を1日平均60〜65m移動
- 去勢オス:30〜35mに縮小
- メス:20〜30mほど
餌が豊富にある場所では、必要な移動距離はさらに短くなります。逆に繁殖期の未去勢オスは、メスを探すために通常より遠くまで移動することもあります。
まとめ
猫は「よく寝る生き物」であることは間違いありませんが、その睡眠の多くは浅い眠りで、いつでも動ける準備をしています。
室内猫は安全な環境の代わりに動かない時間が長くなりがちで、運動不足対策が重要。
野良猫の生活は、去勢や環境によって大きく異なります。こうした猫の習性を理解し、それぞれに合った環境作りや接し方を心がけることで、人と猫がより快適に暮らせるはずです。