朝の公園に行くと、ぽかぽかした日差しの中で鳩の大群がにぎやかにエサをついばんでいました。パンくずでしょうか、それとも誰かがこっそり置いていったごちそうでしょうか。
ともあれ、鳩たちは自分たちの世界に入り込み、真剣そのものの表情でくちばしを動かしています。
鳩たちが肩を寄せ合いながらパクパクする姿は平和そのものです。周囲には人の姿もなければ、障害物らしきものも見当たらず、いかにものどかな風景。
※この記事は感動猫動画さんの動画をもとに作成された創作物語です。
這い寄るキジトラ猫

ところが、そんなのんびりした公園の片隅に、一匹のキジトラ猫が潜んでいました。完全に鳩の群れにターゲットを捕捉しています。
猫は地を這うように身を低くして、まるで映画のスパイのようにじりじりと前進。背筋は伸び、尻尾はまっすぐ後ろに伸ばして、その先端だけが小刻みに動いています。

まさにハンターの眼差し。
完全に気配を殺しているつもりなのでしょうが、障害物がまったくないためその姿は鳩たちから丸見えです(笑)
「失敗するはずがない」と自信満々の猫

鳩たちは「まだ食べ足りないけど、あの猫ちょっと近いかも」とでも言わんばかりに、少しずつ距離を取っていきます。
それでも猫は自分のステルス技がばっちり決まっていると信じているようで、低姿勢のまま前へ前へと進軍中。鳩たちは首をかしげながらも、餌をついばむのを完全にはやめません。
猫がすぐそこまで迫ろうとしているのに、あくまで食欲優先という姿勢がたくましくもあります。
しかし、ハンター猫のほうは「どいつもこいつも俺の接近に気がついている様子はニャイ!」と自信満々に心の中でつぶやいていそうな動きです
そして誰もいなくなった

最後は、鳩たちがじりじりと後退していき、そのうちに全員が猫からほどよく離れた場所へ移動してしまいました。気がつけば、広い公園の中央に猫ひとり。
周囲からは「プルルッ」という鳩の鳴き声だけが遠巻きに聞こえます。
猫は「おや、人間いたのかにゃ?いい天気で気持ちいいにゃ−(ΦωΦ)」とでも言いたげにあくびをして、さも何でもないふうを装っています。

「べ、べつに悔しくなんかないもん」とでも言いたげですが、その尻尾はしょんぼりと地面をさすっています。
顔には「こんなはずでは……」という切なさがにじみ出ており、思わず笑いを誘う光景でした。
かくしてハンター気取りのキジトラ猫と、おっとりしつつも油断しない鳩たちの小さな攻防戦は、静かな公園に切ない余韻を残して幕を下ろしたのです。
猫はやがて「次こそは」とばかりに草むらのほうへ引き返していきました。
その後ろ姿からは、密かにリベンジを誓う気配が漂っていましたが、当の鳩たちはまた別の場所で優雅にエサタイムを再開しているかもしれません。
そんな噛み合わない関係も、平和な公園のひとコマとして今日もくすっと笑いを届けてくれるのです。
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